Captive 2

「起きろ」
乱暴に、顔を揺すられ、ルーファウスは意識を取り戻した。
ぼんやりと開けた目に、残酷な笑みを浮かべた男の顔が映る。その瞬間、全てを思い出し、自分の顔を覗き込む男を睨みつけた。
「まだ元気だな。その調子だ」
カイルゲイトが満足そうに笑い、手に持ったものを持ち上げてみせる。それは、空のワインボトルだった。
「社長。よく見てろよ」
カイルゲイトは囁き、ルーファウスの足枷のついていない方の足を抱えあげた。
そして、露わになったそこに、ワインボトルの口を押しあてた。
「……なにを……っ」
ルーファウスは、カイルゲイトの意図を悟り、目を見開いた。
思わず、逃げようと身体を動かし、そのとたん、身体の中心に激痛が走り、呻いた。
「いい反応だ」
カイルゲイトが満足げに笑う。そして、ルーファウスの反応を見るように、ワインボトルの口を、さらに押し付けた。
「怖いか?」
敏感な部分に触れる、冷たく硬い感触に、ルーファウスは唇を震わせた。
「やめてくださいって言ってみたらどうだ?やめてやるかもしれんぞ」
カイルゲイトが、残酷に嗤う。
だが、ルーファウスは、唇をかみしめた。
(この変態のサディストが……!)
心の中で、知っている限りの罵詈雑言をカイルゲイトに浴びせる。
だが、声には出さず、歯を食いしばった。自分が何か言えば言うほど、このサディストは悦ぶだろう。それに、何を言ったところで、この男がやめるとは思えなかった。
「強情だな。まあ、それなら仕方ない………がんばれよ、社長」
カイルゲイトは囁くと、ワインボトルをルーファウスの身体に突きいれた。
傷ついた場所をふたたび開かれ、激痛が走る。
とはいえ、口の部分は、それほど太さはない。先ほど、開かれたルーファウスのそこは、すんなりと異物を受け入れていく。
だが、冷たく硬い無機物に身体を開かれていくのは、痛みとはまた違った苦痛をもたらし、ルーファウスは、ベッドに手錠で繋がれたままの手を握りしめ、その異様な感触に、唇を震わせた。
「いい眺めだな」
カイルゲイトが笑った。
「見てみろよ。あんたの身体、どんどん飲み込んでいくぞ」
ふと、カイルゲイトの手が止まり、入口が、さらに開かれたのを感じる。
おそらく、細い部分が全部、埋め込まれたのだろう。
「ここからきついぞ」
カイルゲイトが楽しそうに言い、ワインボトルを少しずつ、さらに奥へと、押し込み始めた。
硬く冷たいものに、身体の奥深くを開かれながら、入口は、ボトルの太いところで、じわじわと、さらに大きく広げられていく。
あまりの苦しさに、こらえきれぬ呻き声が、かみしめた唇の間から洩れる。
カイルゲイトの手が、ルーファウスの腹部に当てられた。
「社長、わかるか?ここまで入ってるぞ」
せせら笑うように言い、カイルゲイトの手が、ルーファウスの腹部を押した。
ぐい、と上から押され、内壁が、埋め込まれたボトルに押し付けられる。痛みと苦しさに、喉の奥で悲鳴が漏れた。
「………っ………!」
「苦しそうだな。かわいそうに」
カイルゲイトが笑いながら、ルーファウスの腹部を手で撫でまわした。
「震えてるな。怖いか」
ルーファウスは、必死で唇を噛みしめた。
「強く押したら、中で割れるかもな」
囁くように言いながら、ルーファウスの肌に手をぴたりと当てる。
カイルゲイトに言われるまでもない。
恐ろしかった。心の底から、この男が恐ろしかった。
中でボトルが割れれば、恐らく、死ぬだろう。それも、内臓をガラスでめった斬りにされる、という恐ろしい死に方で。
この男は、確かに、相手を恐怖に陥れるやり方を知っている。
そして、また、何よりも恐ろしいのは、この男には、自分を殺さない理由がない、ということだった。
今、生かされているのは、ただ単純に、神羅の情報を自分が持っているからに過ぎない。
というより、持っている、とカイルゲイトが思っているから、生かされているのだ。
だが、実際には、ルーファウスが持っている情報など、たかが知れているし、パスワードにしろ、生体認証にしろ、絶対に抜け道は用意されているものであるわけで、ルーファウスがいないとどうにもならないものなど、何一つないのだ。いずれ、カイルゲイトがそのことに気づけば、ルーファウスは途端に、用済みになる。そうなれば、その先に待つものは、サディストの餌食となる、悲惨な死だろう。
そして、自分がここにいることを知る者は、誰もいない。
たとえ、ここで惨たらしく殺されたとしても、死体を処理されてしまえば、もう自分の存在など、なかったも同然のものになる。
自分の命を、他人に握られているという恐怖、それが、これほど恐ろしいものとは、思ってもみなかった。
「助けてほしいか?ん?」
カイルゲイトが、優しくすら聞こえる声で囁く。
「もうやめてください、って言ってみろよ」
大きな手が、ルーファウスの腹部をゆっくりと撫で、ワインボトルの口の部分を、指先でたどっていく。
「お願いします、って言ってみろ」
恐怖と苦しさに、全身が震える。
だがそれでも。
やめてくれ、助けてくれ、と言うことだけは、どうしてもプライドが許さなかった。
この先に待つものが、悲惨な死だとしても、この男に屈することだけはできなかった。
カイルゲイトが、にやりと笑った。
また、ぐいと上から押され、ルーファウスはくぐもった悲鳴を上げた。
「…………っ…!…」
腹部を押されたまま、ワインボトルをさらに奥へ突き込まれ、涙があふれ出る。
「あんたの泣き顔は最高だな。もっと泣かせたくなる」
カイルゲイトが囁き、また、奥へ、ボトルを押し込む。
「どこまで入るか試してみるか?」
身体の奥深くを、押され、圧迫感が酷くなる。
これ以上やられたら、内臓を破られるに違いなかった。
恐怖に唇が震える。
だが、ルーファウスは、涙にかすむ目を開け、カイルゲイトを見据えた。
カイルゲイトが、眉を上げる。
そして、くっくっと笑い始めた。
「あんたは、最高だな、社長。強気な美人は好みだ」
カイルゲイトが、ワインボトルを少し、引き出した。
圧迫感が消え、思わず、ほっと息をつく。
「ここで、壊すにはもったいない。よかったな、社長。まだ死なないで済んだぞ」
カイルゲイトは、にやりと笑った。
「だがな………後で、あの時、死んでおけばよかったと思うかもしれんがな」
その頬に浮かんだ酷薄な表情に、ルーファウスはぞっと身体を震わせた。
カイルゲイトは、ゆっくりとワインボトルを引き抜き始めた。
抜き出されていく感覚に、鳥肌がたつ。ぎりぎりまで抜きだされ、次の瞬間、一気に押し込まれ、ルーファウスは背をのけぞらせた。
「んっっ!……」
突然のことに、衝撃のあまり、息が詰まる。
また、引き抜かれ、ぐいと押し込まれる。
傷ついた内壁を硬いものでこすられ、ビリビリと痛みが走る。
体内に残されていたカイルゲイトの欲望の残滓が、ボトルの動きに合わせて、体内で湿った音をたて、カイルゲイトが笑った。
「いやらしい音だな」
せせら笑われながら、何度もワインボトルを突きこまれる。
硬いものに身体をこじあけられ、内臓を直接、突きあげられ、ルーファウスはなすすべもなく、苦しさに身もだえた。
不意に、ボトルが身体から引き抜かれた。
両足を大きく開かれ抱えあげられたかと思うと、熱く脈打つものが埋め込まれ、一気に、奥まで貫かれた。
硬くはりつめたモノに、傷ついたところを広げられ、激痛が走る。
だが、先ほど、強引に広げられたそこは、カイルゲイトの怒張をスムーズに受け入れ、すんなりと根元まで飲み込んだ。
そのまま、熱い楔に、何度も身体を突きあげられる。
激しく突き上げられ、衝撃に身体が揺れる。だが、ワインボトルで犯されることに比べたら、まだましだった。
だが、ふと、ルーファウスは、自分の身体の異変に気付いた。
おそましいことに、無意識のうちに、カイルゲイトを受け入れた部分が、蠢いていた。
あろうことか、埋め込まれた怒張を、中に引き込み、奥へ奥へと取り込もうとするかのような動きを繰り返しているのだ。
それは、覚えのあるものだった。
(「力を抜いて、身体を開け。俺を受け入れろ」)
かつて、何度も耳元で囁かれながら、セフィロスを身体に受け入れた。
そして、力強い腕に抱かれながら、男の楔を穿たれることで得られる深い快感を、身体に刻み込まれた。
その時のことを、ルーファウスの身体は、忘れてはおらず、今、再び、あの快感を得ようと蠢いているのだった。
だが、カイルゲイトのモノなどで感じるなど、冗談ではなかった。
なんとか抵抗しようと力を込めるが、それは、より一層、カイルゲイトの怒張を敏感な内壁で感じ取ることになり、押し出そうとするどころか、それを包み込むような動きにしかならない。
理性とは関係ない、欲望に忠実な己の身体の反乱に、ルーファウスは唇を噛んだ。
カイルゲイトがふと、動きを止め、眉を寄せて、ルーファウスを見下ろした。
そして、ルーファウスの顔を見つめながら、ゆっくりと腰を引き、またゆっくりと突きあげる。
怒張が埋め込まれる感覚をありありと感じさせられ、ルーファウスの身体が無意識のうちに震えた。
カイルゲイトが、動きを止め、唇を舐めた。
「……まさかと思ったが……」
囁くように言いながら、また、ゆっくりと腰を引き、ぎりぎりまで引き抜くと、ずっ、ずっ、と少しずつ己を埋め込んでいく。
ルーファウスは、焦らされた身体が蠢き、腰が、無意識に揺れるのを、どうすることもできなかった。
唇を噛みしめ、思わず、顔をそむける。
その顎を掴まれ、カイルゲイトに覗きこまれる。
「あんた、男にやられたことがあるのか」
カイルゲイトが、突きいれた腰を揺らし、ルーファウスの身体をかき回した。
「んっ……!」
喉の奥で、押し出されるように声が漏れた。
その声に、明らかに苦痛以外の響きが混じっていることに気づき、ルーファウスは唇を噛んだ。そして、カイルゲイトもそのことに気づいたようだった。
「へえ……」
カイルゲイトが、唇を舐めた。
「狭いから気がつかなかったが……」
そして、何度も奥を突きあげる。そのたびに、また、ルーファウスの喉から、こらえきれずに声が漏れた。
「それも、一回や二回じゃないな。あんたはここの使い方を知ってる」
カイルゲイトが笑いだした。
「へえ、こりゃあ、傑作だ。取り澄ました顔をした社長さんが、女だったとはな」
カイルゲイトの手に顎を掴まれ、揺すられる。
「相手はだれだ?重役連中か?それとも、あの親父か?誰に仕込まれた?それとも、あのソルジャー連中か?連中の女だったのか?」
カイルゲイトが、ルーファウスの身体に埋め込んだものを、ゆっくりと抜き出した。
そして、ことさらゆっくりと、己を埋め込んでいく。
ルーファウスの顔を見つめながら、硬い切っ先で、内壁をえぐりながら、腰を進めていく。
その瞬間、びくり、とルーファウスの身体が小さく跳ねた。
「……っ…」
同時に、思わず、喉の奥で声が漏れる。
カイルゲイトが一瞬、身体を止めた。
そして、少し、己を抜き出し、同じところを、ぐいと突き上げた。
「んんっ……!」
ルーファウスは、思わず、身体を跳ねさせ、背をのけぞらせた。
この感覚はよく覚えている。
自分を襲うものは、明らかな快感だ。かつて、そこを、何度も、セフィロスの硬く熱いモノで抉られ、絶頂に押し上げられた。
「ここか」
カイルゲイトがにやりと笑う。
そして、その場所を、硬い切っ先で押し上げるように抉り始めた。
ルーファウスは、必死で気をそらそうとした。
だが、身体は正直だった。何度もこすられ抉られるうちに、忘れていた快感が全身に広がっていくのを、どうすることもできなかった。
「社長、勃ってきたぞ」
カイルゲイトが嗤う。
言われるまでもなく、ルーファウスにもわかっていた。
身体の中心が重くなり、身体を揺さぶられるたびに、勃ちあがりかけたそれがいやらしく揺れる。
「へえ……社長、顔が変わってきたな」
ルーファウスは、歯を食いしばり、快感を抑え込もうとした。
こんな男のモノに抉られて、イかされるなど、冗談ではない。
だが、硬い切っ先に抉られるたびに、身体の奥深いところから激しい快感が沸き起こるのはどうすることもできず、ルーファウスは次第に追いつめられていった。
「……っ……!…うっ……」
「いけよ、社長」
カイルゲイトが囁き、激しく突き上げる。
それに押し上げられ、とうとう、ルーファウスは絶頂に向かって、放り投げられた。
「んっっ……!」
唇を噛みしめ、耐えきれず、絶頂を極める。
必死で、引き延ばしたせいか、その絶頂感はすさまじく激しいもので、ルーファウスは息を詰め、身体をがくがくと震わせた。
同時に、身体の中に埋め込まれたおぞましいものを、強い力で締めあげる。
「…くっ…………」
カイルゲイトが呻き、耐えるように眉を寄せる。
やがて、声を立てて嗤った。
「後ろだけでいったな、社長。しかもすごい締めつけだ。男娼も顔負けだな」
カイルゲイトが、せせら笑い、まだ硬く張りつめたままの怒張で、絶頂の中できつく締まったままのルーファウスのそこを、がつがつと突き上げ始めた。
「…っっ!……んっ……!」
再び、快感の波が襲いかかる。
いまや、前立腺だけではなかった。
カイルゲイトを包み込む内壁全体が、かつての快感を思い出し、それを貪ろうとすらしていた。
奥まで突かれ、押し開かれ、内壁をこすられ、抉られ、その全てが、激しい快感をもたらす。
だが、ルーファウスは、必死で唇をかみしめた。
口の中に、錆びたような味が広がり、唇を切ったのだとわかる。
だが、せめて、声だけは出したくなかった。
手を戒める手錠にしがみつき、唇を噛みしめ、襲いかかる快感の奔流に必死で耐える。
だが、一度、破られた堰をとどめることなど、できるわけがなかった。
せせら笑われながら、何度も突き上げられ、容赦なく身体を蹂躙され、ルーファウスはどうすることもできずに、何度も絶頂に押し上げられた。

2011年6月6日 up

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